研究課題/領域番号 |
13871052
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
樋口 靖 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (90110577)
|
研究分担者 |
村上 之伸 流通経済大学, 経済学部, 助教授 (20306103)
|
キーワード | 彙音妙悟嘉慶6年版 / 王建設紹介の彙音妙悟版本 / 彙音妙悟の増補部分 / 彙音妙悟の校訂 / 彙音妙悟所収字の音韻地位 / 彙音妙悟のなかの誤字 / 〓南語泉州音系 / 彙音妙悟所収の〓南語語彙 |
研究概要 |
研究計画に従い、継続して「彙音妙悟」の校訂作業行っていたところ、「中国語文」2001年第3期に王建設「新発見的彙音妙悟版本紹介」という文章が発表され、「彙音妙悟」の未知の版本の存在を知った。この版本は発行年は不詳であるものの比較的良好な版本であり、我々の作業にとって極めて有用であると判断した。早速、王建設教授に連絡して中国(泉州)に出張(11月27日〜12月4日)し、王教授の好意により、版本のコピーを入手することができた。それは、予想どおり、間違いの少ない良い版本であり、作業に大いに役立つものであった。その足で福建省図書館に立寄り、「彙音妙悟」関係の書籍を調査したところ、なかに嘉慶6年(1801)刊行の版本が含まれていることを発見した。この版本は現在知られている限り最も早い版本であり(嘉慶5年初刻本は未発見)、既知の諸版に比べて多くの特色を持ち、初刻本に最も近いものであることは疑いない。その最も重要なことは、既知の版本がすべて増補本である(王教授本同じ)のに対し、嘉慶6年版は「増補」ではないという点である。これによって、これまでの諸本のどの部分が増補された部分、増補字であるかが始めて明らかになった。また、これまで編者黄謙の創案に係るとされ、高い評価を与えられていた「三数新数法」(漢字音表音法の一種)が初刻本にはなく、後に黄謙本人を含む誰かによって付加された事実も明らかになった。もっと重要なことは刻字の乱れが非常に少ないことで、王氏紹介の版本よりも一層美しく整然とした版本である点である。このエディションを見て初めて読解できるようになった個所も大変多い。12月24日〜29日に福州に再度出張してこの版本の筆写が概ね終了したので、以後はこの版本を底本とすることに方針変更し、現在改訂作業進行中である。また、この版本の存在を学界に紹介すべく、論文を執筆中である。
|