研究課題/領域番号 |
13871052
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
樋口 靖 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (90110577)
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研究分担者 |
村上 之伸 流通経済大学, 経済学部, 助教授 (20306103)
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キーワード | 〓南語 / 泉州方言 / 嘉慶6年薫園蔵版『彙音妙悟』 / 増補『彙音妙悟』 / 大版式本『彙音妙悟』 / 福建省図書館 / 『雅俗通1十五音』 / 〓浦方言 |
研究概要 |
本年度も昨年度に続き、校訂作業を継続した。そのほか昨年秋、福建省図書館において我々が発見した嘉慶六年薫園蔵板本『彙音妙悟』の研究上の重要性について共同論文を発表した。その概要は以下のとおりである。 福建歴史文化センター所蔵の「大版式本」は貴重な版本ではあるけれど、明らかに嘉慶6年本とは別の版木によっている。嘉慶6年版と大版式本との間に、黄謙自身が校訂増補したオリジナルな薫園蔵版『増補彙音妙悟』があったに違いなく、大版式本はそれを翻刻したものと推定できる。もちろん、大版式本自体が黄謙本人の手によって上梓された『増補彙音妙悟』そのものである可能性も否定できないが、大版式本が嘉慶6年本よりミスの多い原因は、黄謙自身あるいは黄大齢の目が通っていないことにあると思われる。そしてその誤刻漏刻は道光本以降の版本にほとんどすべて受け継がれていった。 嘉慶6年本は原刻本『彙音妙悟』から大版式本「増補彙音妙悟」までのブランクを埋めるものであり、従来のどの版本よりも高質で、〓南語研究の文献学的隘路を大きく広げてくれるものである。 『増補彙音妙悟』の「増補」とは具体的にどの収録字を指すのかはこれまで、大きな謎であった。嘉慶6年本の発見によって、「大版式本」以降の「増補」がどのようなものであったかが、やっと分かって来た。増補字は編者黄謙自らが言う1千余字ほどは無いが、530字以上あることが判明した。そのうち人名用字も多いことは間違いないが、純粋な口語語彙を写した字も少なくないことが明らかになった。現在、増補字を具体的に分析した論文を投稿予定している。 ほかに本年は『彙音妙悟』に反映された泉州方言と密接な関係にある〓州方言に属す〓浦方言を調査することが出来たので、報告を準備中である。
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