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2002 年度 実績報告書

バイロンとオリエンタリズム

研究課題

研究課題/領域番号 13871053
研究機関奈良教育大学

研究代表者

門田 守  奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (50204516)

キーワードバイロン / オリエンタリズム / オリエント / 東洋 / イスラム / イギリス / ロマン派 / ロマン主義
研究概要

平成14年度までは、Edward W.SaidのOrientalismを挺子にし、Byronと同時代の牧師や旅行家の著作を研究して彼らのオリエント観を明確化した。すなわちSamuel Green、Charles Forster、Humphrey Prideauxらの宗教家はイスラム教に偏見を抱き、キリスト教を平和の礎と考えていた。また、フランス人旅行家Chateaubriandもトルコ人の野蛮さに偏見をもっていた。ところが、Alphonse de LamartineやJulia Pardoeといった旅行家は逆にトルコ人の美徳を称え、ほとんどオリエントに偏見を抱いていない。詩人にしても、Samuel Rogers、Walter Savage Landor、Robert Southeyらはイスラムを貶め、キリスト教文化を擁護していた。こういった環境の中で、Byronのオリエント観には特異なコスモポリタン性が貫いているという知見を得た。これには、彼が直接オリエントを旅した経験があることが影響している。敷衍すれば、一連のHajji Baba物語で知られる小説家James Justinian Morierは、イギリスを客観的に諷刺する視点をもっていた。Morierの作風には在ペルシャの外交官時代の経験が影響しているに違いない。ByronのSiege of Corinth、The Giaour、Beppo、Don Juanなどでは欲望、性愛、戦争などの相においてオリエントとオクシデントは混ぜ合わされ、人間は皆共通の我欲に囚われた存在であるという見解が示される。Byronは西洋優位の視点から脱却し、東洋も含めて人間全体を等しく眺める視点を得たのだ。今後は、さらにByronの東方物語詩群を精密に読み解き、彼において西洋の優位性がいかに疑問視されているかを分析する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 門田 守: "『ジャウア』におけるオリエンタリズム-その語りの構造の視点から-"『奈良教育大学紀要』(人文・社会科学). 第50巻・第1号. 127-142 (2002)

  • [文献書誌] 門田 守: "バイロンとロマン的オリエンタリズム-彼のコスモポリタン性をめぐって-"イギリス・ロマン派研究. 第27号(印刷中). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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