本研究は、戦後ドイツにおけるコミックカルチャーに見られる大衆文化の変容を明らかにすることを目的とするが、前年度に引き続き、平成14年度においても、一次資料の収集、ドイツにおけるコミック・マーケットの現状を分析することを目的として、主として以下のような調査・研究を実施した。 1)ドイツ・コミック関係およびポピュラーカルチャー関係資料の収集 ・「新フランクフルト学派」に加えて、入手困難な資料を知人・友人などを介して収集し、分析を行った。 2)ドイツにおけるコミック・マーケットの調査 ・ドイツのコミック出版の現状を知るために、コミック関係出版社の出版内容の調査、コミック・ショップの現状を主として各種統計資料の分析、出版社・コミック専門店のホームページ等の調査・分析などを行った。 ・ドイツからの留学生への聞き取り調査を行い、ドイツの若者のコミック受容の現状を調査・分析した。 3)ドイツにおける日本製アニメ、テレビゲーム受容の現状の調査 ・前年度の日本製アニメの放映状況調査に加えて、日本製テレビゲームの受容の現状を留学生への聞き取り調査なども行いながら調査・分析した。 4)ドイツ独自の大衆文化形成のプロセスをコミックカルチャーを通じて考察するという2年間にわたる本調査・研究の成果を取りまとめ中である。なお、2003年10月に東北大学で行われる日本独文学会秋季研究発表会で本研究の成果に基づいたシンポジウムを開催する。
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