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2002 年度 実績報告書

文字と文字表現の認知情報論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13871061
研究機関東北大学

研究代表者

千種 眞一  東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30125611)

研究分担者 片岡 朋子  早稲田大学, メディアネットワークセンター, 特別研究員 (80137075)
キーワード漢字カナまじり文 / 機能的素性 / 神経文字学 / 表語機能 / 簡体字 / 単語家族
研究概要

今年度は、特に日本語の漢字カナまじり文という書記体系を構成する漢字の認知情報論的な解明に「機能的素性」の設定が不可欠であること、「神経文字学」から重要な示唆が得られることを明らかにした。文字は意味と音形の面でどのように認知されているのかという問題の考察に失読失書の症例等を参照できるからである。例えば、漢字は記憶に負担はかかるが、記憶してしまえば楽だと言われるのは、偏旁を構成する単位が基本的字形を基礎にしているからである。しかし錯読の傾向として、文字の全体像がぼけて相互に似通った形として混同されたり、「煙草」「灰皿」は読めても「たばこ」「はいざら」は読めないといった現象が報告されている。これらの症状を認知情報論的に解明する鍵となる漢字の文字学的な性格は、漢字の表語機能にあると考えられる。言語の基本単位が語であるならば、漢字は言語に最も適合した文字ということになる。しかも独体字のみならず合体字も意味をもつ単位であることが、音素文字や音節文字とは根本的に異なる。簡体字が学びにくいのも、意味をもつ語としての漢字の表語性を失っていることに原因の一部がある。従来の書体である繁体字には偏旁などに意味の有縁性が認められるため、使用者はこれを手がかりに語の認識がしやすいのであろう。形声文字では基本の意味は義符ではなく声符によって示されると同時に、声符が同一ないし類似の発音を示しているので、互いに似た音形で結ばれた共通の基本義をもつ「単語家族」という集合体が認識される。他方、簡体字化が推進された現代中国で読み書きを学ぶ者の観点から言えば、合体字の音声的要素は学ぶべき文字全体の形の恣意的な部分に過ぎないことが多く、基本の意味を示していたはずの声符の形から意味的な関連性を排除して簡略化されたために、声符が本来もっていた意味と音の連合関係が認知されにくいという結果をもたらしたといえる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 片岡朋子, 原田康也: "Web情報におけるコンテンツとデザイン:明治大学情報基礎編での試み"情報処理学会『コンピュータと教育』. (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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