研究課題/領域番号 |
13872005
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中山 信弘 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40009816)
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研究分担者 |
小島 立 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助手 (00323626)
山神 清和 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助手 (50334298)
横山 久芳 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助手 (30313050)
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キーワード | IT / 情報通信技術 / 知的財産権 / 特許 / 著作権 / コンピュータ・プログラム / 契約 |
研究概要 |
目まぐるしく推移する激動のIT時代。皮相的な検討では到底対処できない問題が噴出している現在こそ、パラドクシカルに感じられるかもしれないが、本質を捉えた考察が不可欠である。本件球では、この視座に基づいた検討を試みた積もりである。本年度の研究成果の一端は下記の通りである。 第1に、著作権法における創作概念の再構成について。著作権法は時代の流れに伴い、保護対象を著しく拡大した。コンピュータ・プログラムに代表される機能的・事実適所作物を大量に取り込んだ今、著作権法の根本概念である創作性を以下に位置づけるかは喫緊の大問題である。人格の流出物、すなわち個性の顕現として把握されていた従来の著作物には、「主観的創作性概念」とでも呼ぶべきものが対応していたが、実用的創作物においては、表現過程の分析的考察によって創作性を位置づける必要が生じるに至る。すなわち、「客観的創作性概念」を導入することが求められる。成果は近々、雑誌論文あるいは単行本の形で公表を予定している。 第2に、情報契約について。技術的保護手段(コピー・コントロール、アクセス・コントロール)を施された情報は、契約による流通が容易となり、著作権法との緊張関係が議論されるに至っている。本問題に関しては、中山信広「21世紀の知的財産制度をめぐる諸問題」司法研修所論集106号(2001年)1頁以下で若干の検討を行った。来年度以降、アクセス・コントロールが著作権法にもたらす影響について考えてみたい。従来の契約法理では対処しきれない問題を孕んでいるとも思われ(たとえば、債権の目的物に関する議論等)、ひいては「私権」という近代私法が前提とするパラダイムに根本的再検討を促す契機ともなり得よう。アメリカ等における状況の追跡が不可欠であることから、来年度は在外研究を実施する予定である。
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