1.研究の目的:本研究はマレー人、華人、インド人など複数の民族集団から構成される多民族国家(Multi-Ethnic)マレーシアを中心に「統治能力」に関する東南アジア諸国の比較研究を行うことを目的としている。具体的には独立以降の開発計画の策定、実行、調整、評価能力を「統治能力」と位置づけた上で、政府機構、官僚制度、政策内容の3者から有機的に捉え、比較分析を行うことを目的としている。 2.研究内容:独立以降今日に至るマレーシアの開発政策を見ると、(1)1957年から70年まで、(2)1971年から1981年まで、(3)1981年のマハティール政権誕生以降の大きく3つの時期に区分することができる。 本研究では主として、(2)ならびに(3)の時期を中心に研究を行った。中でも(3)のマハティール政権期に関しては、さまざまな制度上の変更がなされたにもかかわらず、既存研究がほとんどない上に、基礎データすら整備されていない状況にあり、そのデータ収集と整理に時間を費やすことになった。 3.研究実施結果:基礎データとしては、開発関係省庁の機構上の変遷に関するデータ収集と整理、開発予算に関するデータの収集と整理、閣僚名簿の収集と整理などを行った。また、こうした基礎データを収集・整理する傍ら、予算作成・財政制度の変化などに関して集中的に資料を収集し、分析作業を進めた。
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