2001年においては、次世代型モバイル、つまり第三世代携帯電話のサービスが始まったが、その範囲が都心周辺等、非常に限定されていたため、その特徴を最大限利用した研究を行うことはできなかった。しかし、バンド幅が広がることを想定し、現在でも可能なアプリケーションの可能性として、モバイルシステムを利用した、投票システムについての実験的な研究を行った。 本年度は、直接ビジネス場面よりも、よりエンターテイメント性の高い場面での応用を試みた。スポーツなどのイベント観戦者が、何らかの基準に従って、限られた時間内に投票行動を支援する仕組を開発し、特許出願した(12.を参照)。さらに、その仕組みを基に、サーバと接続して限られた時間内に投票できるシステムを開発した。2001年11月17日Jリーグ公式戦(ジュビロ磐田対サンフレッチェ広島戦)において、主催者であるヤマハフットボールクラブと共同で、実戦の中で観客参加型のテスト実験を行った。携帯電話基地局のキャパシティや電磁波の人体に対する影響を考慮して、NTTドコモ社のI-Modeユーザ約400名を対象に実験を行った。それは観客が試合終了直後5分程度の間に、その試合のMVPを投票してもらうというもので、集計結果は投票終了後1分程度で、公開された。参加者の反応は非常に高く、同様に試合後のアンケートでも98%以上がまたやってみたいという結果を得た。商業的にも価値のあるものと考えることが出来る。 今回の応用では、エンターテイメント性の高いものにするために、時間的な制約を与えたが、ビジネス等の組織の意思決定においても、構成員が空間的に分散して配置されているような状況で、かつライアルタイムに組織的なアクションを決定しなければならないような場合に応用できるのではないかと考えている。
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