研究分担者 |
池田 保 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (20211716)
西山 享 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (70183085)
加藤 信一 京都大学, 総合人間学部, 教授 (90114438)
高橋 哲也 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (20212011)
平賀 郁 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10260605)
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研究概要 |
今年度は,7月に数理解析研究所において短期共同研究「p進群の調和解析」を行い,28名の参加者があり,有意義な集会となった.この集会で講演された宇沢達氏の対称多様体の整数環上の構造に関ずる結果は,巾単軌道積分の計算に応用が期待される.また1月には,Strasbourg大学のJ.F.Dat氏を招き,情報交換共同研究を行ったが,これから研究すべき方向の一つを示唆され有意義であった. 今年度は,主として一般線形群およびそのinner formの許容表現の,特殊線形群およびそのinner formへの制限則について齋藤と平賀郁が共同で研究した.その結果として,特殊線形群のinner formの許容表現のLanglands packetの内部が,Langlands parameterから従来定義されていたS群の代わりに,その単連結群での逆像をとり,その連結成分の既約表現をとることにより明解に記述されることが分った.これは,一般線形群のinner formに関するautomorphic inductionを考察し,そのtransfer factorを精密に計算することにより得られる.この結果は,現在はdiscrete seriesの表現に限られているが,より一般の跡公式を考察することにより,Arthur packetの記述,代数体上の保型表現の重複度公式も,得られると期待される.またこのpacketの内部の記述は,他のreductive groupのときにも適用されると予想される.今迄あまり解明されていなかった,quasi-splitでない群の表現に関して明解な方向を与えると期待される. この他の結果としては,今野拓也がU(2,2)の場合にそのunipotent表現のpacketを記述し,代数体上の保型表現に関して,その重覆度公式を得た.また平賀郁は,表現のZelevinski対合が,Arthur packetを保ち,Arthur parameterを用いて簡明に記述されることを予想し,基本補題の仮定の下に,いくつかの重要な結果を得た.
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