研究概要 |
平成14年度においては、研究代表者は、前年度に引き続き、岡本・パンルベ対の高次元化,パンルベ型方程式の幾何学的特徴づけについて考察し,下記にあげるような成果を得た. ・パンルベ方程式がRiccati方程式に還元する事と岡本・パンルベ対の内点に(-2)有理曲線を含む事が同値であることを示し,パンルベ方程式のRiccati解の完全な分類を行った.特に,D^<(1)>_7型の方程式はRiccati解を持たない事を示した. ・九州大学の岩崎氏,稲場氏とともにパンルベVI型方程式の初期値空間を,4点確定特異点をもつSL_2(C)接続のモジュライ空間として定式化し,構成,非特異性の証明,自然なコンパクト化の構成を行った.また基本群の表現のモジュライ空間とのRiemann-Hilbert対応の構造を解析し,Riccati解の部分は,基本群の表現のモジュライの特異点に対応すること,またBacklund変換は,自然な幾何学的な双有理変換であり,いわゆるFlopという双有理変換であり,またそれによりパンルベ方程式は不変であることを示し,幾何学的な意味づけを行った.またRiemann-Hilbert対応がモジュライ空間の正則シンプレクテック構造を保つ超越的な解析同型であることも示した.以上の一般的な方法は,ガルニエ系の場合にもそのまま適用できるが,今後はモジュライ空間の詳しい記述等によりより深い理解が得られると予想される.特に高次元のシンプレクテック特異点およびその特異点解消,また高次元のシンプレクテックFlop)等についての具体的記述が期待される.
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