2次元結び目の解け予想を解くには、捕空間の基本群が無限巡回群のとき、その滑らかな2次元結び目が自明な結び目と微分同相であることを示せばよいことが知られている。まず4次元空間内の閉曲面は、その捕空間の基本群が自明ならば、カスプによる2重点の発生および消滅のみを許した変形で自明な埋め込みにつながることを示し、4次元空間内の曲面のカスプによる2重点の発生・消滅のみを許した変形を高さ関数を固定して調べた。カスプしかないため、2重点の高さの軌道は後戻りをしない線分となる。セルフ図形およびセルフ図形と2重点の高さの軌跡との交わりを変形していくと、その交わりはセルフ図形の自明な結び目側の平行線部分でのみ起こるようにできる。カプスを通して交点を導入するところを逆から見ると、交点を通る円板を縮めてカスプにしてもとの結び目が再現できるのであった。改良した1助変数族をよく見ると、元の結び目は縮めてカスプにすると自明な結び目になるような円板と他の結び目の連結和で新たな円板を作り、その円板を縮めることによって、できることが分かる。これらの状況を詳しく解明することが必要であるが、それにはシャールマン教授との検討が役に立った。ところで、鎌田聖一氏は2次元結び目のブレード表現を用いて、古典的結び目のマルコフの原理に相当するものを証明している。上の変形をブレード表現の変形と見ることによってより詳しい解析が、可能になることがわかった。この部分の解析を来年度は行う予定である。一方、関連して曲面や3次元多様体から平面への写像がいつ4次元空間への埋め込みにリフトするかといった問題が研究分担者佐伯等によって詳しく解析された。
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