研究概要 |
Ginzburg-Landau▽φ界面モデルに対する流体力学極限を考えれば,巨視的な界面方程式として表面張力関数のHesse行列を形式的な拡散係数としてもつ非線形偏微分方程式(異方性をもつ平均曲率流)が得られることが知られている.本研究では,まず対応する大偏差原理を考察した.速度汎関数の表示に同じ表面張力関数が現れ,流体力学極隈との密接な関係が明らかになった. 界面が壁より上にあり,したがって高さ変数が常に非負であるようなモデルの平衡状態(Gibbs分布)について,エントロピー的反発や濡れ転移などに関する多くの研究結果が最近得られている.そこで,対応する時間発展の解析を目標として,まず第1にOlla氏と共同で,空間が1次元の場合に,系が平衡に到達しているとして対応する時間発展の揺動の様子を調べた.極限は反射をもつ確率偏微分方程式で記述され,特に非Gauss的であることが示された.第2に,多次元の場合に周期境界条件のもとで流体力学極限を証明し,極限は発展的変分不等式によって記述されることを示した.これは反射(障害)をもつ異方的な平均曲率流を表している. さらに,高さ0の近くでピンニングをもつようなGibbs分布に対する大偏差原理を考察した.速度汎関数として総表面張力に加え,ピンニングの効果により界面が負の側にあれば優位性をもつことを表す項が現れることを示した.その応用として大数の法則が得られ,極隈はAlt-Caffarelli-Freidmanが論じた変分原理によって記述されることを証明した.
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