研究概要 |
平成14年度は第2年次として本科研費補助金の部分的な援助のもとで,5件の研究発表と研究打ち合わせ国内出張を行い,初年度に証明された離散時間ロトカ・ボルテラ系の解の特異値への大域的収束性を発展させ,離散時間ロトカ・ボルテラ系による与えられた行列の特異値分解アルゴリズムの定式化,および,特異値分解に基づく特異値の精度保証に取り組んだ. まず,離散可積分系であるロトカ・ボルテラ系のラックス形式に基づいて,新しい特異値計算アルゴリズムの各ステップを与えられた行列の相似変形の形に書き,アルゴリズムの特異値までの収束の手順を対角行列への相似変形に表すことで,可積分な特異値分解アルゴリズムの定式化を行った. さらに,この相似変形にワイルの摂動定理を適用することで,計算された特異値の含みうる誤差の上限を見積もる精度保証付き特異値計算法を定式化した.反復を重ねる毎に誤差の上限はマシンイプシロンまで直線的に減少するという良好な結果を与えている. 以上の成果をM.Iwasaki and Y.Nakamura, Accurate singular value decomposition algorithm in terms of discrete Lotka-Volterra systemにまとめて2003年1月,数値計算の専門誌に投稿した.
|