研究概要 |
この研究課題は,2001年10月に追加採択の通知があり,本格的に研究に着手したのがそれ以後であったため,今年度においては主として準備的な研究に終始し,研究課題自身についての具体的な成果は得られなかった. 準備的な研究として以下の研究を行った.(1)Hardyクラスにおける因数分解について,内山明人のマルチンゲールの因数分解法を再考察し,3分割法によるマルチンゲールに限らずk分割法(k≧3)のマルチンゲールでも適当な条件のもとに因数分解ができる見通しを得た.(2)A_p荷重関数の因数分解に関連して,R^nの一般の領域上でのA_p荷重について研究し,基本となる測度について適当な制限を設ければR^nのA_p荷重と並行の議論が成立することを確認した.(3)合成積に関する因数分解については,Huntによる合成積の有界性の研究を調べ,L^p空間だけでは問題設定が不十分でLorentz空間L^<(p,q)>を用いる必要があることがわかった. 他に,この研究課題に関連した研究として,R^nの一般の領域上での重み付きHardy空間の研究,有界区間上での特異積分作用素の重み付きHardy空間での有界性の研究,1変数のCesaro作用素のHardy空間での有界性の研究,を行った.R^nの一般の領域上での重み付きHardy空間の研究と有界区間上での特異積分作用素の重み付きHardy空間での有界性の研究は,Teistungen(ドイツ)で開催された研究集会'Function Spaces, Differential Operators, and Nonlinear Analysis'において発表し,'Weighted Hardy spaces on a domain and its application','A transplantation theorem for Jacobi series in weighted Hardy spaces'という2編の論文にまとめた.1変数のCesaro作用素のHardy空間での有界性の研究は'Boundedness of the Cesaro operator in Hardy spaces'という論文にまとめた.
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