研究概要 |
核スピンのモーメントは非常に小さく、半導体中で核スピンの効果を観測するためには極低温(数μK)が必要であるとされた。しかし、最近の光NMRや量子ホール効果の測定により,4K程度の比較的高い温度でも核スピンの効果が顕著に現れることが確認された.これらの実験では、GaAs/GaAlAsが用いられ、^<69>Ga,^<71>Ga,^<75>Asの核スピンが観測された。このように新しいNMRが開発され、物理現象が発見された現在、半導体中の核スピン分布を系統的に操作することが新しい発見につながる可能性が非常に高い。GaまたはAsを構成するすべての安定同位体が核スピンを有するため、GaAs系の半導体中に核スピンが存在しない領域を作製することは、同位体操作をもってしても不可能である。よって、本申請では核スピン"あり"と"なし"の安定同位体を有するSiとGeを用いて核スピン超構造を作製し、系統的な核スピン研究を実施することを目的としている。今年度は,28Siおよび29Siの単結晶成長に成功し,また,それらを用いた分子線エピタキシー成長に関する基礎技術の確立を行った.また,原子単位の成長を実現する高温昇華セルの開発にも成功した.来年度はこれらの技術を融合して,目的とする核スピンの位置と濃度が制御された半導体低次元構造の作製を行う
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