研究課題/領域番号 |
13874048
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
光永 正治 熊本大学, 理学部, 教授 (90332882)
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研究分担者 |
元吉 明夫 熊本大学, 理学部, 助教授 (30040108)
藤井 淳浩 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 教授 (30034375)
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キーワード | 量子干渉効果 / 原子気体 / 電磁誘導透過 / 暗状態 / 超微細構造 / ゼーマン効果 / ポラリトン / 磁場計測 |
研究概要 |
ガラスセル中のナトリウム原子蒸気に、周波数の異なる2つのレーザービーム、カプリング光、プローブ光を照射して、量子干渉効果の実験を行った。2つのビームは、単一周波数リング色素レーザー(589nm)の出力をAO変調器で周波数変換することで作り出す。量子干渉効果の中でも最もポピュラーな現象の一つは、2光子共鳴条件(プローブ周波数とカプリング周波数の差が超微細構造分裂周波数に等しい場合)下に観測される蛍光の消失である。この状況において、系に不均一な磁場を加えると、2光子共鳴条件が、ある一定の閉曲面でのみ満足されるから、空間的に暗状態が局所的に起こる。これをCCDカメラで観測することにより、暗線の位置がリアルタイムで観測でき、不均一磁場の空間計測が可能である。我々はこれを暗状態トモグラフィー(Dark State Tomography)と名付けた。セルとして、Neを含むバッファーガス入りの試料を用いることで、極めて分解能の良い、トモグラフィー像を得ることができた。不均一磁場としてアンチヘルムホルツコイルを用いると、像は、3つの同心の楕円になるのだが、それは、超微細ゼーマン分裂と2光子選択則を考慮した理論的予測と一致している。この手法は、磁場のリアルタイム空間計測として極めて有効なものと思われる。 また、カプリング光、プローブ光をパルス的に加えることによる光情報記録の実験も並行して進めている。最初に書き込み(記録)としてカプリング光、プローブ光を照射し、サブレベルコヒーレンスを作り出した後、しばらく時間の経った後、カプリング光のみを入射して、信号としてプローブ光を観測する。この間の原子の振る舞いは3準位系のリウビル方程式で記述でき、読み出し時の振る舞いも理論と実験は良く一致することが確かめられた。以上の実験結果は、逐次雑誌に発表していく予定である。
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