研究概要 |
太陽に対し約25km/sで流入する太陽系近傍の星間空間物質(VLISM)起源のヘリウムについての観測的研究を行い、次の成果を得た: (1)ハレー彗星探査機Suisei、Geotail衛星・Nozomi火星探査機に搭載された静電分析型イオン観測装置がVLISM起源He+イオンに十分な感度を有することを証明した(Noda et al.,2001;Noda et al,発表準備中)。その証明の途中において、混入する太陽風重イオシや粒子計数器のノイズなどのバックグラウンド除去法に関する信頼性評価を確立した。これにより、これまで必須とされてきた質量分析器データが得られない場合でもHe+イ才ン観測を可能とした。 (2)地球軌遺におけるVLISM起源He+イオンの隼変化の観測をGeotail衛星データを用いて行い、星聞空間の密度・温度についての知見を得ると共に、He+イオンと地球定在衝撃波の相互作用の様相を初めて観測的に明らかにした。この相互作用は字宙線異常成分の加速過程の最初の段階として理論的に期待されていたものであるが、観測的同定は初めてであり、特に、He+イオンの反射率が定量的に決定されたことは加速モデルに対する重要なインプットとなった(Oka et al.,2002)。 (3)太陽風中でピックアップされた直後のHe+イオンの速度空聞分布が異方性を持っことを初めて観測的に示すとともに、その異方性の惑星間空間磁場方向に依存することを統計的に示した。特に、「トーラス型」分布をもつHe+イオンの同定はGeotail衛星の高感度3次元イオン観測器の特性を活かしたユニークな成果である。(Oka,東京大学修士論文、2002;発表準傭中) (4)Nozomi火星探査機の太陽風内巡航期闇のイオン観測データを用いた地球公転軌遺外(1〜1.5AU)におけるVLISM起源He+イオンの観測を2000年春、2001年春の2シーズンに渡って行うと共に、Nozomi搭載の紫外線観測装置によるヘリウム散乱光データとの比較研究を行った(Noda et al.,2001;Yamazaki et al.,発表準傭中)。
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