研究概要 |
太陽に対し約25km/sで流入する太陽系近傍の星間空間物質(VLISM)起源のヘリウムについての観測的研究を行い、次の成果を得た: (1)Geotail衛星・Nozomi火星探査機に搭載された静電分析型イオン観測装置によりVLISM起源He+イオンの検出を行い、UlyssesやACEなどのデータと比較し重力収束コーンの時間変動についての初めての長期変動観測を行った(Moebiusほか、発表準備中,2003)。 (2)He+イオンと地球定在衝撃波の相互作用の様相を初めて観測的に明らかにした。(Oka et al., 2002)。 (3)太陽風中でピックアップされた直後のHe+イオンの速度空間分布が異方性を持つことを初めて観測的に示すとともに、その異方性の惑星間空間磁場方向に依存することを統計的に示した。(Oka et al., 2002)。さらに、異方性の強さ(ピッチ角散乱の測度)と惑星間空間磁場の乱流スペクトルを比較し、散乱に関与する乱流は彗星ピックアップイオンの場合のような自己励起型ではなく、太陽風に内在する乱流であることを示した(Oka and Terasawa, 2003投稿中)。 (4)Nozomi火星探査機の太陽風内巡航期間の紫外線観測装置によるヘリウム散乱光データとの比較研究を行った(Yamazaki et al., 2003発表準備中)。 (5)静電分析型イオン観測装置によるHe+イオン検出の較正作業に付随した作業として地球電離層起源のO+イオンの観測を用いた感度較正作業を行ったが、その結果として中性大気損失率の新しい推定が得られた(Seki et aL., 2002)。
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