研究概要 |
実績として報告すべき点のひとつは、研究課題を実行するための鉛同位体分析法に改良を加えたことである。チャートが含有する鉛存在度はきわめて低いため信頼に足る同位体データを得るには、1.分析に用いる水、塩酸、フッ酸などの試薬、実験室内の空気その他に由来するブランクを極力下げることが要求される。そこで分析に大量に用いる高純度水を確保するために、超高純度水作成装置エリックス(+ミリQ)を設置した。 2.試料からの鉛分離精製のシステムを従来の臭化水素を用いるイオン交換法から、Eichrom製鉛レジンを用い、塩酸で分離する方法に改めた。これによって分離システムの小型化、使用する塩酸量を低減化することができた。 以上の試みによって、岩石試料の分解、目的元素の分離・抽出過程におけるトータルブランクはストロンチウムについては最低で12ピコグラム,鉛では30ピコグラムと世界でも第一級のレベルに到達していることが立証できた。 以上の成果に則り、秩父帯チヤートの分析に着手した。
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