研究概要 |
東北大学金属材料研究所の一段式ガス銃を使用して,MgSiO_3組成の種々の出発物質を用いて衝撃波実験を行い,以下の結果を得た.MgSiO_3組成のゲル焼結体およびそれにCu粉末を混ぜたものについて,それぞれ20-40GPaで衝撃圧縮した試料では,X線的には輝石またはその高圧相は観察されなかった.しかし,透過電顕による観察では,40GPaで衝撃圧縮したゲル焼結体では,粒径200nm以下の単斜エンスタタイトの微結晶の集合体が見い出された.また,ゲル焼結体にCu粉末を混ぜたものでは,30.9GPaの試料で粒径300nm以下のフォルステライトおよび単斜エンスタタイトが確認された.これらのフォルステライトが,出発物質のゲル中にすでにできていたものかどうかは,定かではない.単斜エンスタタイトには,(100)面に平行な面欠陥が頻繁に観察された. MgSiO_3単斜エンスタタイト粉末にCu粉末を混ぜたものを出発物質にした場合は,30.1GPaと40GPaで衝撃圧縮した試料には,出発物質と同じ単斜エンスタタイトが観察されたが,高頻度で(100)面に平行な面欠陥が認められた.そのほか,MgOペリクレス焼結体とSiO_2ガラスの円盤同士を張り合わせ,張り合わせの面と75度の角度で40-50GPaで衝撃圧縮した実験も行ったが,明確な輝石またはその高圧相は観察されなかった.今後,天然の隕石を出発物質にした衝撃圧縮実験も,行う予定である.
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