研究概要 |
混合金属四核金属錯体の合理的合成をめざして、フェノール性酸素を橋架け基としてN(amine)_2O_2及びN(amine)_2O_2金属結合サイトをマクロ環内に内蔵する四核化コンパートメント配位子の設計を行なった。そのような配位子の一つ(F^<4->)を鋳型反応で二核銅(II)錯体[Cu_2(L)]として合成し、この前駆体とNiCl_2との反応で得られる混合金属錯体[Cu_2Ni_2(L)Cl_4]は不完全ダブルキュバン構造を有することをX線結晶構造解析により明かにした。一方、CoCl_2及びCoCl_2との反応で得られる[Cu_2CO_2(L)Cl_4]及び[Cu_2Zn_2(L)Cl_4]はともに'dimer-of-dimers'構造であった。二つのコア構造の違いは、Ni(II)が6配位八面体を好むのに対して、Co(II)やZn(II)は5配位構造が安定であることで理解される。これら錯体の磁気的交換相互作用をHeisenbergモデルに基いて解析したMnCl_2との反応で得られる[Cu_2Mn_2(L)Cl_4]は、磁気的研究から'dimer-of-dimers'構造であると結論した。二核コバルト(II)錯体から出発すると[Co_2M_2(L)Cl_4](M=Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn)を合成することができる。また、二核ニッケル(II)錯体から出発してホモ四核ニッケル錯体[Ni_2Ni_2(L)Cl_4]を合成した。この化合物は異常な磁気的性質を示し、各種磁化測定からTc=14K以下でフェロ磁性転移を起こすことを確かめた。また、環サイズを拡張させたアナローグの合成にも成功してCu_2M_2錯体の研究を行なった。一方で、3-アミノメチル-5-メチルサリチルアルデヒド4分子を金属イオン存在下で縮合させて得られるマクロサイクルについて錯形成挙動を研究した。
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