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2001 年度 実績報告書

低溶媒和金属イオンの溶液化学への展開

研究課題

研究課題/領域番号 13874098
研究種目

萌芽的研究

研究機関九州大学

研究代表者

石黒 慎一  九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80111673)

キーワード溶媒和錯体 / 立体効果 / 配位数 / ジメチルベンズアミド / ジメチルプロピオンアミド / 非水溶媒
研究概要

溶媒和数の低下は金属イオンの反応性を著しく促進する。反応性をさらに著しくするにはどの様な溶媒を選択したらよいのか、本研究は、金属イオンの溶媒和の立体効果を利用して、低配位数金属イオン溶媒和錯体を実現するため、一連のアミド溶媒について、溶媒の合成も含めて、検討を進めた。ジメチルホルムアミド(CH_3)_2NCHO(DMF)、ジメチルアセトアミド(CH_3)_2NC(CH_3)O(DMA)、ジメチルプロピオンアミド(CH_3)_2NC(C_2H_5)O(DMPA)、ジメチルベンズアミド(CH_3)_2NC(C_6H_5)O(DMBA)、テトラメチル尿素{(CH_3)_2N}_2CO(TMU)等は金属イオンにカルボニル基の酸素原子で配位する非プロトン性のドナー溶媒であり、一般的に(CH_3)_2NCROの構造を有し、複数の溶媒分子が同時に結合する溶媒和錯体では溶媒分子間の立体相互作用の結果、配位酸素原子近傍の置換基Rを嵩高くすると配位数が低下する「強い立体効果」が発生する。このことは可視部に吸収をもつニッケル(II)イオンでは溶液の色の違い、すなわちソルバトクロミズムで容易に確認できる。ニッケル(II)イオンはDMF中で配位数は6で立体効果は働いていない。DMA中では淡黄色で配位数は6であるが、分子配向が変化する「弱い立体効果」が働く。DMPAとTMU中では赤色であり、5配位、DMBA中では濃青色であり4配位となり「強い立体効果」が働くことがわかった。ニッケル(II)イオンはいずれの溶媒中でも高スピン状態を維持しており、配位子場の強さには変化がない。DMPAはDMBAと同程度の立体効果が働くと期待されたが、溶媒分子構造が変化し、立体効果を和らげることがわかった。今後3配位ニッケル(II)イオンの実現に向けてさらに置換基Rを嵩高くする溶媒の合成を試みる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] R.Kanzaki: "Distribution thermodynamics of 1, 10-phenanthroline in nonionic surfactant Triton X-100 micelles"Chem. Phys. and Phys. Chem. 3. 824-828 (2001)

  • [文献書誌] M.Komiya: "Unusual interaction of diiodo complex of zinc(II) with 1, 10-phenanthroline in N, N-dimethylformamide"Chem. Phys. and Phys. Chem.. 3. 224-229 (2001)

  • [文献書誌] Y.Umebayashi: "Thermodynamics of [Co(NCS)_4]^<2-> at poly(ethylene oxide) and octylphenyl moieties in micelles of nonionic surfactants"J. Colloid & Interface Sci.. 237. 167-173 (2001)

  • [文献書誌] H.Suzuki: "Complex of cobalt(II) bromide with hexamethylphosphoric triamide"Acta Cryst.. C57. 721-722 (2001)

  • [文献書誌] Y.Umebayashi: "Individual solvation number of first-row transition metal(II) ions in solvent mixtures of N, N-dimethylformamide and N, N-dimethylacetamide-Solvation steric effect-"Chem. Phys. and Phys. Chem.. 3. 5475-5481 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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