ゲノム解析的手法を用いた鳥類と爬虫類の染色体比較研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13874100
• 研究種目: 萌芽的研究
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 松田 洋一 北海道大学, 先端科学技術共同研究センター, 教授 (70165835)
• 研究分担者: 磯部 拓 北海道大学, 先端科学技術共同研究センター, 研究機関研究員 ; 梅原 千鶴子 北海道大学, 先端科学技術共同研究センター, 助手 (80291227)
• キーワード: ニワトリ / ヒト / スッポン / cDNAライブラリー / ESTクローン / FISH / 比較染色体地図 / 染色体相同性

研究概要

スッポン(Pelodiscus sinensis)の脳よりcDNAライブラリーを作製し、ランダムに単離したcDNAの部分配列を決定することにより1150のESTクローンを得た。NCBIのデータベースを用いてホモロジー検索を行った結果、既知の機能遺伝子と高い相同性をもつ数多くのcDNAクローンが同定され、319、250、85のヒト、マウス、ニワトリ遺伝子のホモログを得ることができた。次に、ダイレクトR-バンディングFISH法をスッポン染色体に応用し、82のヒト遺伝子ホモログをスッポン染色体上にマッピングすることによってヒト-スッポン間の比較染色体地図の作製を試みた。その結果、染色体の識別が可能な1-8番染色体上に50の機能遺伝子がマッピングされ、28のヒト染色体との相同領域を検出した。次に、得られた結果を既知のヒト-ニワトリ間の比較染色体地図と比較し、ヒトとの染色体相同領域を介してスッポン-ニワトリ間の染色体相同性について検討した。その結果、スッポン1-4番染色体はニワトリ1-4番染色体とそれぞれ高い染色体相同性をもち、それぞれ5、5、3、2つの大きな染色体相同領域が検出された。スッポン6番染色体はニワトリZ染色体と高い相同性を有し、ニワトリZ染色体が有する3つのヒト染色体との相同領域は全てスッポン6番染色体にも含まれていた。
さらに、シマヘビの脳からもcDNAライブラリーを作製し、スッポンと同様にcDNAクローンのEST化を進めている。ホモロジー検索によって、ESTクローンからヒト遺伝子のシマヘビホモログを同定し、それらをシマヘビの染色体上にマッピングすることによってヒト-シマヘビ間の比較染色体地図を作製し、ヒト-ニワトリ-スッポン-シマヘビ間の染色体相同性を明らかにしたいと考えている。

研究成果

• [文献書誌] Kansaku, N., Matsuda et al.: "Molecular cloning of chicken vasoactive intestinal polypeptide receptor complementary DNA, tissue distribution and chromosomal localization"Biology of Reproduction. 64. 1575-1581 (2001)
• [文献書誌] Ogura, K., Matsuda et al.: "Cloning and chromosomal mapping of human and chicken iroquois(IRX)genes"Cytogenetics and Cell Genetics. 92. 320-325 (2001)
• [文献書誌] Yokomine, T., Matsuda et al.: "Sequence polymorphisms, allelic expression status and chromosomal localization of the chicken IGF2 and MPR1 genes"Cytogenetics and Cell Genetics. 93. 109-113 (2001)
• [文献書誌] Fukui, A., Matsuda et al.: "Molecular cloning and functional characterization of chicken toll-like receptors : a single chicken toll covers multiple molecular patterns"Journal Biological Chemistry. 276. 47143-47149 (2001)