これまでの研究でアメーバ細胞膜からのアクチン繊維脱離がCaイオンによって引き起こされることが明らかになり、このことが仮足形成機構そのものであるという仮説が立てられた。そこでin vivoにおけるCaの役割を検討するためにCaイオン濃度測定、Ca顕微注射、Caged Caによる実験などを行った。Caイオン濃度測定はFura-2 dextranを顕微注射することにより行った。測定の結果、仮足伸長中のアメーバ後部でCa濃度が高いことがわかった。しかし、分解能が低いため、細胞膜近傍でのCa濃度の変化はとらえることができなかった。10uMのCaを細胞膜近傍に注射したところ、その部位の細胞膜が膨張し、あたかも仮足形成時の透明層のような形態となった。EGTAの注射ではこのような反応は見られなかった。よりスマートな実験系とするためにCaged Caの導入を計画した。実験装置構築のための予備実験として、シャジクモ原形質ドロツプにおけるcaged Caの作用を検討した。構築した実験装置において、UV照射により原形質ドロップ中の葉緑体の運動が停止し、Ca濃度の上界を誘起できることがわかった。今後、アメーバを用いた実験により、Caと仮足形成の関連を証明したい。
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