本研究は、ヒメツリガネゴケのジーントラップラインを用いて、造卵器・造精器形成に関与する遺伝子を探索することが目的である。今年度の計画と、その達成状況は以下の通りである。 1.造卵器・造精器形成の誘導 ヒメツリガネゴケジーントラップラインのうち、相同組換えによりタグを導入したラインである3600ラインの全てについて、培養土に植え換え、25℃で約3週間培養した後、16℃で造卵器・造精器形成を誘導した。ジーントラップラインには様々な突然変異体が含まれているため、5.5%にあたる198ラインは生育途中で枯死、8.4%にあたる302ラインは著しい生育不良が見られた。また、現在までに、外見上生育異常は見られないにもかかわらず胞子体が形成されないラインが44ライン、造卵器が肥大し形態異常となるラインが3ライン得られている。 2.低温刺激を与えた株でのみ茎頂特異的にGUS染色が見られる株の選抜 著しい生育不良が見られるラインを除いた約3100ラインについて、造卵器・造精器を含む茎頂部分を採取し、GUS染色を行った。その結果、造卵器・造精器を含む茎頂部分が特異的に染色されたラインが、約300ライン得られた。この約300ラインを1次選抜株とする。 H13年度はヒメツリガネゴケジーントラップラインから、低温誘導時に茎頂が特異的に染色されるラインが約300ライン得られた。H14年度は、これらを用いてGUSの発現と形態変異を指標としてさらに選抜し、造卵器・造精器形成に関与する遺伝子を単離する予定である。
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