研究概要 |
本研究では,並列アレイ光源を利用した光トラップ技術を開発し,微小物体操作技術の新しい応用への適用可能性を示すことを目的として,VCSELアレイ光トラップシステムの試作と機能確認,並列アレイ光源を用いた光駆動力の解析方法の確立,並列アレイ光源光トラップ技術の特徴を活かした応用展開をめざす.本年度の研究により得られた成果・知見は以下のとおりである. 1.VCSELアレイ光トラップのプロトタイプシステムを構成し,発光パターンの切り替えにより,複数物体の独立輸送や物体の回転角制御を実現できることを確認した. 2.VCSELアレイ光トラップによるノンメカニカル三次元物体輸送に成功した.また,発光パワーの変更により,物体の鉛直位置を数+μmの範囲にわたり数μmの精度で制御できることがわかった. 3.複数のビームを利用した光駆動力の計算方法について検討した.光駆動力が,照射パターンやそれを構成するスポットの間隔に依存して変化することを示した. 4.光軸方向の駆動力のスポット間隔依存性を実験システムを用いて測定し,複数ビームの利用により光駆動力の発生効率を少なくとも2倍程度向上できることを示した. 5.光スポットよりも小さな物体の移動範囲を,光スポット領域内に制限できることを確認した.また,光スポットの連結により,物体の移動範囲を拡大・縮小できることを確認した. 6.オフアクシス型マイクロレンズアレイを用いたシステムの小型化について検討し,従来のシステムの全長を1/4に縮小する光学系を設計した. 7.VCSELアレイ光トラップの応用として,分子コンピューティング技術との融合による超並列情報処理手法を考案し,その有用性について検討した.
|