研究概要 |
本研究においては,地震等により倒壊した家屋から人命を救出することを目的に,対象となるがれきを工学的な観点から研究し,救助を安全かつ効率的に実施するための基礎データを提供することを目指している. 平成13年度においては,まずがれきを工学的に研究するための枠組みに関する検討を,国内の研究者との議論などを通じて検討し,倒壊対象論,がれき形成過程論,がれき形態論,がれき探索論,がれき救出過程論の5つの領域から構成されるがれき工学の体系を提示した.ついで,まずがれき形態論について,より具体的な検討を行うために,がれき形成の簡易シミュレータを作成した.本シミュレータを用いることで,がれきの占有空間とがれきそのものの体積比率や,がれきの内部の空間の特性などについて,定量的な評価を行うことが可能となった. さらに,より現実の倒壊家屋の特性に近いがれきの形成過程をシミュレーションするために,木造家屋の構成部材のモデリングを拡張個別要素法を元にした手法により行い,局所的な部材の破壊と,それにともなう構造物の倒壊の過程をシミュレーションする手法を開発し,そのシステム化を行った.これにより,木造2階建て家屋の1階が部分が倒壊して形成されたがれきの形態と,それによる内部居住空間の変形の様子などを評価することが可能であり,がれきからの救助計画の立案や,レスキューロボットの開発のための指針を得ることができた. また,実際に具体的ながれきの検討を行うために,小規模な「がれき模型」を構築し,ファイバースコープなどを用いた内部観測の問題などの検討も行っている.
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