本研究は炭素繊維を電極構造体としてマイクロサイズのプラズマを発生させ、これにより炭素の分解・固定を進めるという全く新しい方法の提案である。本年度は、高圧力および準大気圧中でのプラズマを発生させる条件整備を直流及びパルス駆動について進めるとともに、実際のプラズマ評価について分光計測を行った。以下に詳細を述べる。 1、反応過程を制御するためプラズマ発生部の圧力は正しく設定できるよう圧力計とマスフローコントローラによるシステムを製作した。この結果、CO2ガスに加え、空気や酸素などのガスを混合した状態で供給できるようになり、反応場の圧力およびガス成分の制御をしてプラズマ発生空間に導入する方式が構築できた。 2、高速高繰り返しパルス駆動電源の製作を行い、プラズマを直流及び単極性の繰り返し電源で駆動できるよう電源系の整備を進めた。MOSFETを直並列接続した電源の製作を行い、電極部に印加するパルス幅を任意の値に可変できるように外部回路条件を整えた。また大気圧でのプラズマを安定に発生させるために、高速立ち上がりパルスを必要とするため、回路の残留インダクタンスを十分低減した。 3、プラズマ観測を容易にするため、ガラス製チューブ及びそれ専用の接続部品によりプラズマ発生部を構成し、CO2プラズマからの発光を既設の分光システムによって観測可能とした。 4、上記ガス供給系、パルス電源及びプラズマ発生部を組み上げて、炭素繊維電極を用いたプラズマを発生させた。ガス流量及び電極構成を基本パラメータとして変化させ、パルス駆動電圧・駆動周波数を最適化しつつ安定なプラズマ発生の条件を見いだす手段を確立した。その際ガスの励起・解離状態を分光測定によって観測し、実際にプラズマ中の回転温度、電子温度などのデータを得た。
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