研究課題/領域番号 |
13875066
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鳥海 明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50323530)
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研究分担者 |
喜多 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00343145)
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キーワード | Pentacene / TFT / Mobility / oganic / degradation / hysteresis / grain / miniaturization |
研究概要 |
Pentacene薄膜を真空蒸着法で堆積し、電子ビーム露光およびリフト法を用いて電極を形成してTFTを作成した。 それらの素子の電界効果モビリティと劣化特性に関して、TFTのチャネル長をサブミクロン領域まで微細化して詳細に調べた。モビリティはおよそ0.1cm^2/Vsec程度まで改善し、またチャネル長の微細化とともに電流の増加が見られた。これは微細化のメリットを明瞭に示すものである。またモビリティの温度依存性を正確に評価したところ、モビリティは明らかに活性化型を示し、またその1/T→0への外挿値はサンプルによらずにほぼ同じ程度の値をとることがわかった。 また、一方で微細化とともに特性にヒステリシスが観測されるようになり、この原因を詳細に調べた。その結果、空気中の水分がチャネルの電界が強くなるにつれて特性に影響を及ぼしていることがわかった。真空中ではまったくヒステリシスは観測されない。さらに動作時間経過とともに電流が劣化することも観測されたが、この場合にはバイアス条件を逆転させることで初期状態に復帰することがわかった。そこで、この場合には水分ではなく、電子あるいは正孔の動きと捕獲によって電流が変化していると考えられる。 さらに、Pentacene薄膜を半導体と見なしたMOSキャパシタを作成し、C-V特性の周波数依存性を詳細に調べた。C-V特性は通常の半導体と同様の空乏層の存在を示すものであった。またきわめて強い周波数分散が観測された。この事からPentacene TFTはほぼ半導体として見なしてよいが、高速動作に関してはPentacene薄膜自体のインピーダンス特性が効いてくることが明らかになった。 以上より、この2年間の萌芽研究を通じて、Pentacene TFTの基礎的な側面はほぼ調べることができた。今後はさらに定量性を深めるとともに応用研究にも着手したい。
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