研究概要 |
本研究の目的は,ビジュアルサーボを特徴量空間における経路計画の観点から定式化することで,対象物の特徴量の事前知識を持たずに特徴量空間内を大域的に誘導できる軌道計画法を開発することである. 平成13年度までに,ポテンシャルを特徴量誤差の2次形式を用いて適切に設定し,ポテンシャルの最小化問題として特徴ベースビジュアルサーボの定式化を行った.その結果,「軌道計画(目標値生成)とフィードフォワード・フィードバックを一体化したモーションコントロール」としての定式化が可能となった,従来の「特徴量偏差を状態とする状態フィードバック」は,特徴量誤差の二乗ノルムをポテンシャルとする状態空間における最急降下法であり,大域的安定化のためにはポテンシャルの大域的凸性が必要であった.しかし,本研究で定式化された制御問題では,最適化の前に特徴量空間において経路計画を行うため,経路に沿った局所的な凸性が保証されれば大域的安定となる.平成14年度は,前年度の研究を理論的,実験的に進めた.具体的には,以下の手法の研究を行った. 1.運動を利用したカメラの自己校正法と視覚サーボへの応用 カメラが運動する際には,注視対象物上の各特徴点に対して基本方程式と呼ばれる幾何学的な関係式が成り立ち,それを利用することでカメラの自己校正を行う方法を開発した.14年度では,前年度で提案した基本的なアルゴリズムに関して理論的な検証をすすめて,ロバストな推定手法を提案し,ビジュアルサーボ制御へ応用した. 2.Static-eyeとhand-eyeのビジュアルサーボ制御理論に基づく比較検討 ビジュアルサーボの手法として,マニピュレータの手先にビジョンを付けるhand-eye手法と,マニピュレータとは別に視覚装置を設置するstatic-eye手法が存在する.本研究では,これらの手法の制御理論的な解釈を行い,双方の評価を行った.その結果,行うタスクの種類によって,それぞれ利点と欠点が存在することを理論的に導き出し,ビジュアルサーボ制御への応用を行った.
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