初年度は粘土・砂を用いたカラム実験を行った。その結果、粘性土が混在した土壌カラムにおいても動電現象(電気浸透)により、水分移動・溶質移動を確認した。また、移流拡散に電気浸透による水分移動と電気泳動によるイオン種の移動シミュレーションモデルの作成を行い、カラム実験結果との比較から砂質土、粘性土それぞれ均質な土壌条件においてモデルの有効性を確認した。 第2年度はシミュレーションモデルの砂質土・粘性土混在条件への適応とそのための基礎データを実験により収集した。当初予定していた印加電圧・電極間距離、初期溶質濃度が移動現象に与える影響については、初期濃度(硝酸イオン)についての実験になった。 シミュレーションモデルが砂質土・粘性土混在条件で実験結果と良い一致を見ない原因として、砂質土・粘性土の境界、モデルの境界面、電極特性、粘性土の電気動力学的特性(電気浸透係数など)等が考えられたが、そのうち粘性土の特性を中心に実験を行った。その結果、粘土(ベントナイト)の電気浸透係数値が、初年度のシミュレーションモデルで利用していた値よりもかなり大きな値(2.0〜3.5E-4cm/sec/v)である事が判明した。こめ値はカラム実験における含水比で計測したが、含水比を変化させての計測には至らなかった。また、粘性土と砂質土間に生ずる水分移動速度の差に起因する浄化速度差および残存溶質濃度差、その濃度差による拡散現象についてはシミュレーションモデルを2次元でする事でその再現を試みたが、定量的な差異を論ずるに至るような結果を得ることができなかった。 以上、電気浸透/泳動現象による土壌浄化の基礎的知見として、それぞれの現象をカラム実験・シミュレーションにより比較/検討することができた。また、電気的特性の異なる火山灰起源の土壌についてもシミュレーションによる現象把握が出来る可能性が明らかとなった。(790字)
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