研究概要 |
洪水流の河道内貯留量の評価と洪水防御計画への適用に関し以下の成果を得た. (1)複断面流路について,非定常性の度合いと低水路幅と蛇行度が洪水流の貯留量に及ぼす効果を調べ以下の結果を見出した. ・同じ洪水ハイドログラフについて低水路が直線の場合と蛇行帯幅の異なる蛇行度の場合の洪水流の貯留量を比較すると,蛇行度が大きいほうが貯留量が大きくなることを示した.理由は,貯留を引き起こすような混合は蛇行帯幅の中で生じ,蛇行帯幅が大きいと混合が強くなるためである.さらに同じ蛇行度であっても,低水路内に一直線部が現れるほど幅が広くなると,低水路の蛇行の影響が小さくなり直進的な流れとなる.この場合には,貯留量は,低水路が直線の場合とそれほど変わらない. ・非定常性が大きいほど,貯留量は大きい. (2)複断面蛇行流路における洪水流の挙動を説明する2次元非定常流モデルを作成した. この数値モデルは貯留量の評価を算定可能にするもので,(1)の実験結果をよく説明する. (3)13年9月の台風15号の洪水について江戸川,利根川上流,下流,荒川において,よく準備された計画の下に洪水流観測を実施した観測結果を解析し,各河川の河道特性にたいする洪水流の貯留量の評価を行い,重要な情報を得た. (4)実験と現地観測の結果の基づき河道特性と貯留量を指標に水理学視点に立った治水と環境の調和した川づくりについて提書を行なった.
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