現在、解体建築物中の廃プラスチック量が増加しているにもかかわらず、その大部分は再利用されずに、焼却や埋立てがなされている。しかも、廃プラスチックの発生量に関する情報はほとんど明らかにされていない。本研究では、モデル地域として取り上げた岡山市の住宅解体時における廃プラスチックの発生量と種類を推定した。そのために、建て方・構造別に1住宅におけるプラスチック使用量を種類ごとに求めたものを、延べ床面積で除した「原単位」(単位面積あたりの廃プラスチック発生量)を求め、「年平均滅失住宅床面積」を乗じた。ここで、滅失住宅床面積とは、建て方、構造別に滅失住宅戸数に1住宅あたりの平均床面積を乗じたものとした。ここでは、「住宅」を「一戸建住宅」と「長屋建・共同住宅」の2種類に、「廃プラスチック」を「純プラスチック」と「混成品」の2種類に分類した。その結果、「長屋建・共同住宅」から発生する「混成品」の原単位が非常に大きいことが分かった。また、「長屋建・共同住宅」のうち「家族用」より「一人用」の原単位の方が大きいことも分かった。これは、1人であっても、サイズは小さくても製品は一通り必要となるためであると考えられるそして、そのうち最も使用されているポリ塩化ビニル中に添加されている有害物質として、フタル酸ジ2-エチルヘキシルとリン酸トリフェニル、ビスフェノールAの3つを取り上げ、インパクト評価を行った。また、ポリ塩化ビニルの「発生量[kg]」に「溶出量[mg/kg]」を乗じて、岡山市の住宅解体時に発生する廃プラスチックのうち、「純プラスチック」が埋め立てられた場合のそれぞれの全溶出量を求めた。すると、フタル酸ジー2-エチルヘキシルの添加割合が高く、溶出量も多いことが分かった。
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