現在の建築物、特に住宅には多くのプラスチックが使用されている。しかしながらそのリユースやリサイクルの市場は未発達であり、発生する廃プラスチックの量と質が明らかにされる必要がある。そこで本研究では廃プラスチックの量と質の推定を設計段階で調べ、廃棄物として発生する前に推定する。具体的に研究理念を表現すると、「住宅の寿命を30年と仮定すると、現在の設計図から30年後の発生量を、30年前の設計図から現在の発生量を推定する」となる。推定対象地域は岡山市と岡山地方振興局管轄区(岡山市を含む2市7町、以下岡山地方)である。推定方法として、一戸建と長屋・共同住宅とで住宅形態毎に焼失した面積に単位面積当たりの使用プラスチック原単位を乗じて廃プラスチック発生量を求める。住宅減失面積は、建て方、構造、建築時期別に岡山市における戸数及び一戸当りの平均床面積を求めて計算した。廃プラスチックの原単位は、設計図面から用いられる材料を純粋なプラスチック(純プラスチック)と純プラスチックと金属等の混成品(以下混成品)とに分けて拾い上げ、使用量を床面積で除して求めた。推定した。また岡山地方の岡山市以外の市町についても発生量を推定した。その結果として、岡山市において純プラスチックの一戸建住宅からの発生量は485[t/年]、長屋建・共同住宅からは68[t/年]であった。そして混成品の一戸建住宅からの発生量は275[t/年]、長屋建・共同住宅からは529[t/年]であった。純プラスチックについては、一戸建住宅の解体時に大量に発生しているが、混成品に関しては、長屋建・共同住宅の解体時の方がより多く発生していることが明らかになった。一戸建よりも建物の規格化・簡便化が進んでいる事が原因として考えられる。また岡山地方の市町間で比較すると、岡山市での発生量が地方全体の約45%を占めることが明らかとなった。
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