土木分野の関連する環境において、不快な騒音から川のせせらぎの快適な音まである。土木環境に関連する音の問題を解決するためには、音の質特に快適な音を研究する必要がある。このような視点から、本研究では、「土木音環境工学」を提案した。 本年度の研究では、長崎県本明川を事例に、河川環境音を収録し、上流から下流にかけて、また河川から離れた空間の河川音場空間を想定し、河川環境音の音特性の変化と快適音に関する心理的調査を行った。 現場調査に基づいて河川音場空間の収録ポイントを設定した。さらに、変動要因として、四季、推量、周辺からの音(虫の声、鳥の声、自動車騒音等)を配慮しながら、平成13年8月から平成14年2月にかけて環境音の収録を行った。音の収録には、本研究費で購入したDAT(デジタル録音機)とステレオマイクを用いた。また、音の処理は、パーソナルコンピュータによりデジタル処理を行った。 収録した環境音に基づいて、環境音の評価を行った。上流の音は流速が早いために高音域成分が多い。下流域は流速が遅く低音域成分が多く、ゆったりとした音のために、快適な音に聞こえる。河川から離れると、周辺の音に川の音が吸収される。これらの評価を周波数分析から、河川環境音の1/fノイズ評価を行ったところ1付近にn=1付近に位置し快適な音であることが評価できた。また、30人の被験者に対するアンケート調査の多変量分析においても、河川環境音の快適さが評価できた。 本研究の前半である、河川環境音の評価はほぼ終了した。萌芽的研究であったために、論文発表の準備が遅れているが、順次研究成果の論文を公表する予定である。
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