うちわ気流の形成状態を調べることを目的として単純な形状のうちわ挙動のシミュレーションを行った。 シミュレーションは、12×10×10mの閉鎖空間内のほぼ中央にうちわを設定した。うちわ部分を移動物体として定義し、振り速度0.73rad/s(45度の振れ幅で0.5秒間に1振り)で回転半径を0.5m(うちわ中心まで)とした。うちわ面積は0.4m^2に統一して、長方形の3タイプの形状を想定した。うちわの厚さは1cmの板状のものにした。乱流モデルは標準k-εモデル、移流項差分スキームは1次精度風上差分により、約10秒間まで解析した。うちわの回転は振り上げから開始した。 うちわの形状によって生成される気流の状態が異なることがわかった。うちわ自体のしなりが考慮されていない点で、剥離渦のでき方が実際とは異なる可能性がある。また、メッシュ分割を半分とした予備計算では3タイプともうちわの送風方向への気流がほとんど形成されなかった。メッシュ分割の精度(特に剥離渦の再現)にかなりの影響をうける解析であることがわかった。 解析したうちわ形状の中ではタイプ2(横長の長方形)が最も効率よく送風方向に気流を送っているように見える。そのため同じ面積であれば横長のものが効率がよいといえる。気流分布は、可視化実験からも確認されているが、風速0.1(m/s)の領域はうちわと平行塗面ではほとんど広がらないことがわかった。 また、模型実験によってヒレ型の形状の違いによる気流の可視化実験を行ったが、煙の可視化ではその違いが明瞭に判明できなかった。
|