研究課題/領域番号 |
13875107
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山下 哲郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (00239972)
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研究分担者 |
筧 淳夫 国立医療, 病院管理研究所・施設計画研究部, 部長
奥宮 正哉 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (30160815)
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キーワード | 医療・福祉施設 / 院内感染 / 空調設備 / 空気環境 / 病室 |
研究概要 |
(1):医療・福祉施設の規模・部門構成と、空調の系統別空調システムの対応関係についてみた経年変化の特徴 →空調設備関連雑誌から、過去20年間に竣工した医療・福祉施設の空調システムについて、その変遷を整理した。概ね、病室などの居室部分が、患者のアメニティーに配慮して個別コントロールできるよう、FCU(ファンコイルユニット)が採用される傾向にあることを明らかにした。また一部においてはFCUでの結露をさけるため、非結露型FCUなどの工夫もされている。 (2):CDCの指針、及び諸外国の感染対策に関する指針、HEAS-02の指針等について、これらの空気感染に対する考え方の差異や共通点の整理 →CDCが1996年に策定したGuideline for Isolation Precautions in Hospitalをベースとして英国のNHSが作成している指針及び我が国の医療福祉設備協会が作成しているHEAS-02を比較して、空気感染に関する考え方を整理を行った。また、CDCからは2001年にGuideline for Environment Infection Control in Healthcare Facilitiesの草稿が公表され、今後このガイドラインも含めた比較検討が必要となる。 (3):実際の医療・福祉施設において、空気感染に配慮して行われた建築的対応の整理 →幾つかの設計事務所および設備設計事務所に対して、資料提供とアンケートを求めることで、この課題を明らかにする予定であるが、現在のところ未実施である。 (4):(専門家の協力を得て補足的に実施した課題) 実際の病室を対象とした、外気吸入口およびFCUの吹出し口とドレインパンの空気・結露水中の細菌採取 →N病院の病室(個室)において、調査を行った結果、空気中からは院内感染の原因となる病原菌(MRSAやAspergillus fumigatus、緑膿菌など)は直接には検出されなかったが、CNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌;MRSAと同様に人間の皮膚に常在する菌である)および真菌(アレルギーの原因となる)が検出されたことで、その病室に在院する患者の状況(感染状況にあるか否かなど)によって、FCUのフィルターなどに細菌(特にMRSA)が発生することが解り、このシステムに問題のあることが明らかになった。
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