研究概要 |
3年計画の2年目であり,またこの研究が新しい測定装置の開発を伴うものであることから,本年度は測定装置の性能評価を中心に研究を行った。 装置設計において,測定波長は200〜1100nm,測定温度は上限1200℃である。当初は遷移金属をドープした試料を用いて装置性能を評価していたが,分光器の温度上昇による波数ドリフトの影響を正確に見るため,希土類ドープガラスを作製し,このガラスを炉外の光路中,無色透明のガラスを炉中に置いたときのスペクトル,および希土類ドープガラスを炉中に置いたときのスペクトルを測定した。実測の結果,室温から600℃までは特に注意をしなくても正確な測定が可能であった。600℃を越えると高温になるほど長波長側でベースラインの揺らぎが大きくなったが,その原因の一つは炉のPID制御による発熱体のON-OFF周期とライトチョッパの周期が近いことだと判明し,前者の周期を長くすることで解決した。また,希土類ドープガラスを炉外に置き,炉内には無色透明のガラスを置いた場合と何も置かなかった場合を比較した。その結果,両者は一致し,この装置が炉内の熱輻射条件の影響を受けにくい構成という点でvan Nijnateenらの装置より勝っていることが確認された。 以上をもとに,ホウ酸塩系ガラスについて,銅イオンやニッケルイオンを含有するガラスについての予備実験を行った。その温度依存性については解析中である。
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