研究課題/領域番号 |
13875133
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 宇宙科学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 英一 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助教授 (40178710)
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研究分担者 |
松下 純一 東海大学, 工学部, 助教授 (50281746)
北薗 幸一 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助手 (20321573)
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キーワード | 選択方向強化 / 金属基複合材料 / 超磁歪材料 / 応力緩和 / 内部応力 / マイクロメカニックス / スマートマテリアル |
研究概要 |
構造用複合材料における材料設計の目的は、望みの力学的性質すなわち製品の応力方向へ高い強度や靭性を得ることである。近年、形状記憶合金繊維の形状記憶ひずみにより生じる内部応力を利用して複合材料の力学的性質を改善する試みがなされているが、強化方向が繊維の方向で決められてしまうことは、通常の繊維強化複合材料と変わりがない。本研究は、方向や大きさの制御が可能である内部応力の起源として「磁歪」に注目し、等方的な磁歪粒子強化複合材料に磁化熱処理を行うことにより、選択方向を強化した異方性複合材料を創製することを目的とした。 モデル材料系には、分散粒子には超磁歪材料Tb_<0.3>Dy_<0.7>Fe_2(Tafenol-D)、マトリクスにはヤング率の小さな低融点金属Pbを選んだ。両粉末を混合、常温プレス、熱間押出により、Pb-10,30vol%Tafenol-D複合材を作製した。水冷電磁石の中に抵抗加熱炉を設置し、最大1T、373Kでの磁化熱処理を施し、緩和プロセス中のひずみ変化を測定した。最後に磁化熱処理を施した試験片に対し、常温での圧縮試験を実施した。 磁場負荷により複合材料に生じた瞬間ひずみは、予想通り、磁場方向に伸び、垂直方向に縮みの方向であった。瞬間ひずみの発生後、磁化熱処理中にはひずみはほとんど緩和されず、冷却、磁場除去後には、ひずみはほとんど0に戻った。このことからは、磁化熱処理中には内部応力の緩和はほとんど生じていなかったと結論せざるをえない。磁化熱処理を加えた試験片の縦横方向の圧縮試験によれば、予想通り、磁化方向が弱くなる結果が得られた。強度の差は、瞬間ひずみがすべて緩和されたときの予測値とほぼ一致した。 以上一部矛盾した結果が得られたが、その原因の一つは複合材の緻密化が不十分なためではないかと考えており、今後、十分に緻密化した複合材の作製が課題である。
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