本研究は、アノード酸化皮膜化成試料にレーザーを照射し、アノード酸化皮膜を局部的に除去した後、泳動電着および自己析出型コーチティングを行って表面のパターニングのための最適条件を求めることと、その成果を基に、この試料表面の親水性および疎水性の違いを利用してオフセット印刷用のプロトタイプ原板を作製することを目的とする。 本年度は、以下の2点について検討を行った。 1)アノード酸化/レーザー照射/有機樹脂による表面パターニング: 多孔質アノード酸化皮膜化成試料を、パルスYAGレーザーを照射してアノード酸化皮膜を局部的に除去した後、有機樹脂溶液中で分極することによりレーザー照射部のみに有機樹脂層の析出を試みその部分のみに樹脂層を形成できた。 さらに、レーザー照射のさいの光学系(レンズ、ビームスプリッター、絞り)に工夫を行い、析出有機樹脂層の空間選択性および密着のよい析出層の形成条件を明らかにした。 2)析出層の形状観察: 1)の条件で作成した析出層の表面及び断面形状を走査型電子顕微鏡および共焦点走査型レーザー顕微鏡を用いて形状を観察し、析出層の成長速度と条件の関係を調べた。その結果、定電流においては時間とともに厚くなることが分かった。
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