円筒状アルミニウム試料(直径2mm)をアノード酸化し、表面に多孔質酸化皮膜を形成したのち、これを蒸留水中に浸漬し、回転・上下動をさせながらパルスNd-YAGレーザーを照射してアノード酸化皮膜を局部的に破壊・除去した。レーザー照射試料をアクリル酸オリゴマーの溶液中に浸漬し、アノード分極することにより、アクリル樹脂が皮膜除去部のみに析出させた。その後、加熱処理により、脱水とアクリル樹脂の重合を促進した。 アクリル樹脂表面の親油性とアノード酸化皮膜表面の親水性とを利用し、微細円筒プリント原板としての可能性を調べた。すなわち、油性塗料をアクリル樹脂上に塗布し、紙の上を回転させることにより、円筒プリント原板上に描いたパターンを紙に転写させることを試みた結果、数十ミクロンの線幅のパターンを、うまく転写できることを見出した。 アクリル樹脂析出試料をNaOH溶液中に浸漬し、素地金属および酸化皮膜を溶解除去することにより、アクリル樹脂からなる円筒状かごを形成することに成功した。このかご状構造体は、細線を網目状に編んであるものではなく、一体構造であることが特徴である。すなわち、このアノード酸化/レーザー照射/泳動電着塗装の連続プロセスは、三次元微細有機構造体の新規作成法として注目される。
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