研究課題/領域番号 |
13875142
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
田口 正美 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (90143073)
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研究分担者 |
平沢 今吉 新神戸電機株式会社, 埼玉研究所, 主管研究員
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キーワード | 鉛蓄電池 / 浮動充電 / 水晶振動子マイクロバランス法 / 負極活物質 / 正極活物質 / 質量変化 / 充電 / 放電 |
研究概要 |
二次電池の長寿命化には、微少電流にて活物質を常に活性な状態に保つ浮動充電が不可欠である。ところが、鉛蓄電池においても質量変動などの直接データに基づいて浮動充電を解析した例は無い。現在、鉛蓄電池では、高濃度硫酸を電解質とした高エネルギー密度タイプの製品開発や炭素系微粒子の添加による長寿命化の研究などの新たな展開が見られ、質量データに基づいた浮動充電反応の詳細な解析が待たれている。本研究では、電極表面の質量変動をナノグラム(10^<-9>g)オーダーでその場測定できる電気化学QCM法(Electrochemical Quartz Crystal Microbalance Technique)を用い、微少電流をPbS0_4/Pb電極に印加した際の充放電反応を解析した。得られた結果は、以下のように要約できる。 (1)硫酸溶液中に浸漬されたPb-0.08mass%Ca-Sn合金上のPbSO_4の生成速度は、含有Sn量により抑制された。また、348K、4.50kmol m^<-3> H_2SO_4による604.8ksの長時間加速試験の結果は、室温、短時間で実施されたEQCM法のそれと同一であり、この計測方法の有用性が確認できた。 (2)正極活物質の充電において、低電流密度ではPb→PbSO_4なる反応だけであるが、ある臨界値以上になるとPbSO_4→PbO_2の反応が進行し、質量の低下が認められた。一方、負極活物質の充電では、正極活物質の約1/4の電流値でPbSO_4→Pbなる反応が進行した。そのため、鉛蓄電池の浮動充電反応については、正極活物質PbO_2の充電がより困難であると判断できた。 (3)反応性スパッタによりPbO_2薄膜を作製し、充放電反応にともなう質量変動をEQCM法によりその場測定した。その結果、これらの反応はいずれも溶解・析出機構で進行し、正極活物質PbO_2の充電には放電生成物PbSO_4の形状が強く影響することが明らかにされた。
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