研究概要 |
1)我々が見出し「アシドロコンポスト化」と命名した生ごみの微生物分解システムは,コンポスト化が非常な安定性を示しつつ高温酸性で進行する.連続運転中のアシドロコンポストから1週間ごと数カ月に渡りサンプリングを行い,それらのサンプル中における微生物相の変動を,コンポストから直接DNAを抽出し,PCRにより16S/18SrRNAを増幅し,これをDGGE(denaturig gradient gel electrophoresis,変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)法により分離する,といった手順で解析した.その結果,アシドロコンポスト中で主要に存在しているのは乳酸菌に属する細菌であり,さらにそれらの常在菌は数週間から数カ月という長期安定に存在している事が示された.また,1日ごと,および1時間ごとのサンプリングにおいても微生物相には大きな変動が見られない事が分かった.さらに,微生物からのDNA抽出やPCR反応におけるバイアスの無い手法であるFISH(fluoresence in situ hybridization, 蛍光in situハイブリッド形成)法を用いる事により,コンポスト内の微生物相を直接観察した.その結果,やはり微生物の半数以上が乳酸菌に属する細菌である事が確認された. 2)生ゴミに含まれる過剰な油分はコンポスト化に悪影響を及ぼすことが一般に知られている.アシドロコンポスト化において油分の分解を促進させる微生物種,もしくはそれらが生産する脂質分解酵素を獲得すべく,同コンポストからの菌体外リパーゼ生産菌の単離を進めている.
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