成熟したウズラの脳をホルムアルデヒドで固定したあとパラフィンで処理し、切片を作製した。小胞体やリボソームなど細胞内小器官をニッスル染色により染色し、視床下部付近を解析したところ、第3脳室にそってオスで大きくメスで小さい性的二型性を示すmedial preoptic area(POM)を確認した。複数の固体を調べたところ、二型核は再現性がよく見出された。また切片を顕微鏡で強拡大したところ、細胞体が強く染色されていた。メスの小さいPOMは比較小さな細胞が凝集していた。また比較的大きなオスのPOMでは、メスに見られる小さい細胞からなる凝集体を細胞体のサイズが大きい神経細胞が覆っていた。現在このようなPOMの性的差が、性ホルモンによるものであることを確認するため、ホルモン処理をしたウズラの二型核を解析中である。さらに性ホルモン、エストロゲンの二種の受容体ERαとERβについてRNAプロープを合成し、POMで発現を調べている。特にERαは脳全体に分布しているものの、ERβは局在化しておりERβについて集中的に解析中である。 一方、性行動との相関を調べるため、発生初期のウズラをエストラジオール処理し、その発達を解析した。0.4mg/mlのエストラジオールで処理したオスは精巣はよく発達したものの、成熟後に交尾行動は示さなかった。一方、同様にメス化を引き起こすという報告があるテストステロンでは、0.4mg/mlで処理した場合精巣の大きさ、交尾行動とも変化はなかった。現在エストラジオールを軸に交尾行動と性的二型核の相関を追求している。
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