研究課題/領域番号 |
13875163
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
垣内 隆 京都大学, 工学研究科, 教授 (20135552)
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研究分担者 |
保原 大介 京都大学, 工学研究科, 助手 (60303864)
山本 雅博 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60182648)
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キーワード | ポリオキシアルキレン / プロピレンオキシド / 非イオン性界面活性剤 / エチレンオキシド / 促進イオン移動 / 液液界面 / キャピラリー電気泳動 / ボルタンメトリー |
研究概要 |
広く利用されているポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤は、水相中の金属イオンを取り込み、水相からDCE相へのイオン移動を促進することが知られており、これまでにアルカリ及びアルカリ土類金属イオンに対する促進イオン移動がサイクリックボルタンメトリー(CV)により調べられている。イオンを取り込んだ非イオン性界面活性剤は生体膜を透過するために、生体への毒性という点からも興味がもたれている。市販されている多くの非イオン界面活性剤の中から、エチレンオキシド基(EO)だけでなくプロピレンオキシド基(PO)を含んだポリオキシアルキレン系非イオン性界面活性剤によるDCE|W界面での促進イオン移動をCVにより調べた。また、界面活性剤の組成分布をキャピラリー電気泳動により調べた。 100mM金属塩化物水溶液を水相とし、DCE相に非イオン性界面活性剤として1mMポリオキシアルキレンエーテルを加えてDCE|W界面を形成し、CV測定を行った。また、20mMテトラフエニルボレートナトリウム塩と10mMポリオキシアルキレンエーテルをメタノールに溶解しキャピラリー電気泳動(CE)測定を行った。CEの結果より末端にPO基とEO基を持つエチルヘキシルエーテルEH(EO)_<10>(PO)_2の分子量分布は狭く、単一成分とみなしても良いことがわかった。CVでは350mV付近にピークを持つイオン移動電流が観察されたことから、PO基を含んだ界面活性剤もEO基のみを含むものと同様に促進イオン移動活性があることが明らかである。電流は、EH(EO)_<10>(PO)_2のDCE相側における拡散で決まる拡散律速過程である。この時のピーク電位幅(ΔE)が約100mVと1:1(金属:界面活性剤)錯体のみ形成された時のΔE(60mV25℃)より大きいことは、1:1錯体のみならず、2:1あるいは1:2の錯体も形成されている事を示唆する。また、末端にEO基を持つエチルヘキシルエーテルEH(EO)_2のCVとの比較より、POを含む活性剤のピーク電位は、含まないものよりも18mV(1.7kJ/mol)負電位側にシフトした。これは、POも錯形成に寄与していることを示している。また、EH(EO)_<10>(PO)_2について金属陽イオンを変えた時のCVでは、Li^+よりもNa^+の方が、またMg^<2+>よりもCa^<2+>の方がピーク電位が負電位側に現われた。これは、同族の陽イオンではイオン半径の大きいものの方が界面活性剤に取り込まれ易い事を示している。
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