L-ピレニルアラニン(LP)、β-シクロデキストリ(CD)およびp-ニトロベンゼン(NB)を、この順に側鎖にもつ17アミノ酸からなるペプチドを合成した。ここでLPは蛍光性単位、CDはゲストを包接する単位、NBは消光性単位である。LPとCDは、らせんの1ピッチ分、CDとNBは2ピッチ分離れているように設計した。このペプチドは376nmと396nmにピレン蛍光のピークを示す。ゲスト分子であるリトコール酸を添加すると蛍光強度が大きく増大した。この現象は、ゲスト分子不在下でNBがCDの空孔内に入り、結果として、NBとLPが近接して蛍光が顕著に消光されること、しかし、ゲスト分子添加によってゲストがCD空孔内に入るとNBがCD空孔内から追い出され、NBがLPのピレン単位から遠ざかり蛍光の消光が弱まることを示している。かくして、ゲスト添加により蛍光強度が増大する新型分子検出センサーが構築できた。コール酸誘導体をゲスト分子とする時、結合定数の大きさはリトコール酸(281000M^<-1>)>ヒオデオキシコール酸(97600M^<-1>)>ウルソデオキシコール酸(59900M^<-1>)>ケノデオキシコール酸(23000M^<-1>)であった。リトコール酸に対する顕著に大きな結合定数は注目される。
|