研究概要 |
マルテンサイト型変態を有する希土類金属アルミノガレートの熱物性評価の研究で発見した結晶構造に対称中心を持たないGd_3GaO_6について、単結晶試料による誘電特性と非線形光学特性の検討とRE_3GaO_6(Re:希土類金属)の合成を行い、斜方晶系で空間郡Cmc2_1の単一相として得られた試料について、誘電特性評価を行なった。 試料は、各種希土類酸化物と酸化ガリウム粉末を所定量秤量し,混合した後、ペレット状に成形し、空気中1673Kで10時間焼成することで作製した。得られた試料を粉砕し、粉末X線回折像を測定することで相同定を行なった。また浮遊帯域溶融炉を用いて、Gd_3GaO_6の単結晶を作製した。非線形光学特性を調べるため、粉末試料にNd:YAGレーザー(波長1.065μm;赤色)を照射し、発生する第2高調波(波長0.532μm;緑色)の強度をZnOの発光強度と比較した。単一相RE_3GaO_6焼結体を用い、インピーダンスアナライザーで周波数10kHz〜10MHz、室温〜1073Kにおける誘電率を測定した。Gd_3GaO_6単結晶棒をc軸に垂直に切り出し、鏡面研磨後、誘電率顕微鏡を用いて圧電分極軸方向の分布を観察した。 Re_3GaO_6はRE=Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Erで単一相試料が合成できた。各粉末試料より発生した第2次高調波の強度はZnOと同程度であった。Gd_3GaO_6焼結体の誘電特性評価の結果、比誘電率と誘電正接は温室付近でほぼ一定であるが、600K付近で誘電正接が、900K付近で比誘電率がそれぞれ急激に上昇し、誘電正接は900K付近で緩やかに下降しはじめた。この傾向は他の希土類金属ガレート試料でも同様であった。浮遊帯域溶融法で作製したGd_3GaO_6単結晶についてX線極点図測定より、成長方向がc軸方向であることが判明した。(001)面に切り出した試料について、2X2mm領域を非線形誘電率顕微鏡で観察したところ、ほぼ一様な極性をもつことがわかったが、2X2X5mm試料の圧電定数を求めることが出来なかった。
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