研究概要 |
今年度は、マイクロ波照射法を用いる(E)-あるいは(Z)-ハロゲン化ビニルの高効率・高立体選択的かつ環境調和的な合成法の開発について検討し、予期以上の成果を上げることができた。 1.α,β-不飽和カルボン酸から(E)-ハロゲン化ビニルの高効率・高立体選択的合成-α,β-不飽和カルボン酸にN-ハロスクシンイミド(NXS;X=Cl,Br,I;1当量)と酢酸リチウム(0.2当量)を加え、5mlのアセトニトリル-水混合溶媒中(92:8)家庭用の電子レンジを用いてマイクロ波を1分間照射することによって、相当する(E)-ハロゲン化ビニルを高効率かつ高立体選択的に得ることができた。例えば、ケイ皮酸からは84%の収率、95:5の立体選択性で(E)-β-ブロモスチレンが得られた。 2.α,β-不飽和カルボン酸から(Z)-臭化ビニルの高効率・高立体選択的合成-α,β-不飽和カルボン酸の臭素化で得られる2,3-ジブロモアルカン酸にトリエチルアミンを加え、マイクロ波を1分間照射することによって、(Z)-臭化ビニルを高効率かつ高立体選択的に合成することができた。例えば、ケイ皮酸からは95%の収率、>99:1の立体選択性で(Z)-β-ブロモスチレンが得られた。 3.1,1-ジブロモアルケンから(E)-臭化ビニルの高効率・高立体選択的合成-アルデヒドから容易に得られる1,1-ジブロモアルケンに亜リン酸ジエチルとナトリウムエチラートを加え、エタノール中マイクロ波を1分間照射すると、(E)-臭化ビニルが高効率かつ高立体選択的に得られることを見出した。例えば、ケイ皮酸からは94%の収率、>99.5:0.5の立体選択性で(E)-β-ブロモスチレンが得られた。
|