研究概要 |
本研究の目的はミクロンサイズの単分散な磁性体複合高分子微粒子の合成法を確立することであり,適正合成条件の検討,及び高分子/磁性体の含有率の向上,磁性体の遺漏問題などに与える合成条件の影響の解明を目指す。 [I]ミクロンサイズの単分散中空高分子微粒子を合成するために申請者らが独自に提起している動的膨潤法(DSM)と呼称する新規なモノマー吸収法を用いてミクロンサイズの単分散滴を作製し,そのシード重合を行った結果,単中空構造を有する単分散な微粒子の合成に成功した。また,得られた粒子の強度は微小圧縮試験器を用いて評価した結果,中空を持たない無架橋の粒子に比べて10倍ほどの強度を有していた。 [II][I]で得られた中空粒子を用い,塩化鉄水溶液を含有させた後,アルカリ処理を行うことにより粒子内部に磁性体を包括した複合高分子微粒子の合成を試みたが磁性体を含有している可能性はあるものの塩化鉄水溶液の飽和溶液を用いても中空体積の数%しか満たされず,得られた微粒子は磁石に吸引されなかった。一方,液体状のペンタカルボニル鉄を中空内に保持させ,そのまま熱処理により磁性体を粒子内部で生成させることを試みた結果,得られた粒子は磁石に速やかに吸引されるほどの磁性を有していた。なお,粒子の詳細な解析については次年度行う予定である。
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