液晶分子の表面光配向の現象は知られて10年以上経過する。本研究では、棒状高分子あるいは界面活性剤の棒状ミセルを鋳型として合成されるメソポーラス材料の光配向を試みた。 高分子アゾベンゼン単分子膜をLB法で調製しておき、その上にポリジヘキシルシランのスピンキャスト膜を調製する。その際、予め偏光の可視光を照射しAz単分子膜に面内の構造異方性を誘起しておき、その上にポリジヘキシルシラン(PDHS)膜を調製すると、PDHS主鎖は照射しておいた偏光の偏波面の垂直方向に配向した。Az単分子膜に直線偏光を照射すると、この分子の長軸方向は偏光方向から逃げるように偏光面の垂直方向に配向することが、この現象が起こる原因である(Photoinduced Optical AnisotropyあるいはWeigert Effectと呼ばれる)。側鎖型高分子液晶では知られた現象であるが、高分子主鎖に直接配同転写されることを示した最初の例である。表面光配向現象は、PDHSの分子量、フィルムの膜厚、アニーリング操作、照射光量、Az単分子膜の平面充填密度、Az側鎖の化学構造等に大きく依存した 光を用いると微小領域でのパターン化制御へ応用できる。同一膜内にPDHSが一軸配向をした部分とランダム配向の部分とを数μm程度の解像度で作り分けることかできた。膜中の狙った微小部分だけを配向させるプロセスは、ラビングや摩擦転写等の機械的操作では込み入った操作となろうが、光操作では容易に行うことができる。 光配向させたPDH5膜上にゾル-ゲル法により、有機-無機メソ組織体を堆積させることでその配向方向を制御できることもわかった。
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